KPIとは?設定のポイントは?【これを見ればわかる!】

KPIの重要性
何を指標として定めれば、組織や顧客が動いていくのか。
- 「KPIってよく聞くけど、正直あまりどういうものかわかっていない」
- 「KPIはあるけれど、本当にこれでいいかわからない」
そんな声を最近非常によく伺います
“無駄なく行動するために、集中すべき点を明確にすること“
KPIの本質は、そのことにあります。組織が目的に向かって動こうとするとき、何に集中して取り組み、何を指標として定めればいいかを考えるために必要とされます。
本記事では、KPIの基本的な知識から、人や組織が動くKPIの定め方を解説いたします。
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本ページの目次
- KPIとは
- KPI、KGI、KFS、それぞれの意味と違いは?
- OKRはKPIと何が違う?
- KPI設定の方法と、そのポイント
- KPI設定でありがちな4つのミス
- KPIについて、日本を代表する3冊の書籍
- KPIの効果的なマネジメントスキルを身に着けるために
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KPIとは
KPIとは、「対象となる事業活動において、定めた目標の達成度合いや、その達成に向けた主要な活動の進捗状態をはかるための定量的な指標」であると、私たちは定義しています。
もう少し分かりやすく言い換えると、「事業の目的達成に向けて、無駄なく行動するために集中する点を明確にし、その進捗を測るためのもの」です。
事実、KPIは単なる管理指標として使われるケースも非常に多いのですが、その指標が「目的に対して最も貢献するアクション」を促すものでないと、設定する意味はありません。また、「とりあえず」や「なんとなく」で設定して、その数が多くなってしまったKPIによって、真に必要なアクションに充分な時間を割けない状況というのは本末転倒です。
マイケル・ポーターの言葉に、戦略の本質とは「何をやらずにおくべきか」ということだというものがあります。KPIは、やるべきことに集中するために設定するもの。そのために「やらないことを明確にすること」でもあると言えるでしょう。
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KPI、KGI、KFS・・・ それぞれの意味と違いは?
まず、先に述べたようにKPIは最終目標を達成するための「進捗状況をはかるための定量的な指標」です。
一方、KGIは「Key Goal Indicator」の略称で、「重要目標達成指標」と訳されます。その意味は、「最終目標に対して定量的評価をするための指標」です。
KPIが進捗状況をはかるものに対し、KGIは、企業・組織が設定した目標に対する「最終的な成果の達成度合いを数値化したもの」です。KGIのGはゴールですから、定めた最終目標に対してどれだけ達成したか、どこまでゴールに近づけたかを示す指標になります。企業・組織の全体が目指す方向性として決めた最終目標がKGIで、その最終目標を達成するために設定したものがKPIなのです。
ちなみに私たちはKGIが財務的な指標である場合は「KFI(Key Financial Indicator:重要財務指標)」と称して扱います。Financial、つまり最終的には財務・金銭面でのゴールのイメージです。この一例としては、総売上高、販売金額、営業利益、市場シェアが該当します。
次に、KFSとは「Key Factor for Success」を略したもので、「重要成功要因」「目標を達成するための要因」のことです。同じ意味で使われるKSFは、「Key Success Factor」を略したものです。これらは簡単にいうと、企業・組織が「経営戦略を実現させるために必要なものや条件」のことを言います。KFSはビジネスを成功させるために必要な重要な要素のことであり、KPIはその要素を数値化したものである、という違いがあります。
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OKRはKPIと何が違う?
OKRとは「Objectives and Key Results」を略したもので、日本語では「目標と主要な成果」という意味です。1つの目標に対して、複数の成果が対応するという構造が大きな特徴です。
KPIとは別の種類の「目標管理ツール」という立ち位置にあたります。KPIという目標管理ツールを使用する際に扱うKGIやKFSと異なり、OKRは別のツールであるため、混同しないよう気を付けてください。
<OKRの特徴>
- 一つのO(目標)に複数のKR(Key Results:主要な結果)が付随する
- 目標のサイクルが1ヵ月~四半期と短い
- 目標は定性的で、シンプルで覚えやすいものである
- KRは定量的で、一つのObjectiveに対してKRは2~5つ程度
KPIとの違いは、KPIが順調に進めているかを測り示すものであるのに対し、OKRは行き先(目標)とプロセスをセットで示すものであることが挙げられます。OKRを導入することによりるメリットとしては、組織やチームの目標と自分の仕事のつながりが明確化されるので、組織としての意思統一がしやすく、一体感が醸成されるので効率的に働けます。
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KPI設定の方法と、そのポイント
KPIを設定する際の手順は、以下のように考えることが多いです。やみくもに指標となる数値を決めるのではなく、順を追って考えていくことが重要になります。
- 事業目標を細分化し、「①キーとなる成果指標(KGI)」を見つける
- インサイトを探索する
- インサイトをもとに、「②あるべき状態」を導出する
- ②を実現するための「③キーアクション」を導出する
- ①・②・③を連結し、ストーリーとしてまとめる
- ②・③に、測定可能な指標を施し、計測プランを立てる
上記の手順でKPIを設定する上で、ポイントとなる点を2つ、ここではご紹介いたします。
〈ポイント1〉KPIをレベル感ごとに分けて考えること
- キーとなる成果指標(KGI)
- 「あるべき状態」がどこまで成立しているかを把握するための指標
- 「あるべき状態」を実現するために必要な活動・行動をどれだけ実施したかを把握するための指標。見込客訪問数や、広告出稿量など
〈ポイント2〉感情を考慮し、腹落ち感を考えること
効果的なKPIマネジメントのポイントの一つに、メンバーが設定されたKPIを、本当の意味で腹落ちさせるということが挙げられます。会社の方針を意識して部門で設定したKPIが、メンバーに腹落ちしていない結果、具体的な個人のアクションに結び付かないということは、よく発生します。トップダウンで行うKPI設定では、現場メンバーが情報・知見として持つ「ターゲットの意識や状況」が反映されていないことが原因です。
本来は大きな方針の要素分解ではなく、ターゲットに対し、何をやれば、どのように思い、行動してくれるかについて、インサイトの洞察と仮説の構築が必要です。ターゲットの非合理的な感情までを考慮したKPI設定こそが現場の腹落ち感を生み、「目的に対して最も貢献するアクション」としてメンバーの行動に紐づきます。
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KPI設定でありがちな4つのミス
KPI設定は、いつも上手くわけではありません。
よくあるエピソードをご紹介します。
皆さんの会社は毎年、「事業方針」を高らかに掲げます。そして、KPIを策定する立場にある皆さんは、事業部・サービス毎で成果を上げるために、時間をかけて会社の方針に沿ったKPIを策定してメンバーに共有するでしょう。その場では合意を得られていたとします。しかし、日々の業務に追われているうちにあっという間に時間は経過し、そのKPIの存在は薄れ、結果として「かけ声倒れ」になり結局、正しく活用されず、例年と同じ状態のまま1年が終わっていく…。
皆さんの周りでも、このような状況ありませんか?
KPIの運用がうまくいかない状況を整理すると、以下のようなミスが頻繁に発生していることが分かります。
<KPI設定において、起こりがちな4つのミス>
- 指標を追求するあまり、事業におけるそもそもの「大目的」から離れてしまう
- 競争環境や事業戦略が変わっても、指標は元のままであるため、機能しなくなる
- 簡単に取れる指標をKPIとしてしまい、目的に対して効果のない活動を続けてしまう
- 人間のホンネの心理(面倒・決めつけなど)が働いて、データのゆがみや隠蔽が起こる
このようなミスを防ぐために、組織のメンバーのインサイトを十分に配慮しながら、先に述べた手順で、然るべきタイミングでKPIを設計していく必要があるのです。
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KPIについて、日本を代表する3冊の書籍
KPIを学ぶ際に役立つ書籍で、私たちが特におすすめする3冊をご紹介します。
【おすすめその1】
『人と組織を効果的に動かす KPIマネジメント』(楠本和矢著)
Amazon URL:www.amazon.co.jp/dp/4799106104
※HR Design Lab.代表の楠本の著書です。
【おすすめその2】
『2時間でわかる【図解】KPIマネジメント入門 ―――目標達成に直結するKPI実践書。』(堀内智彦著)
Amazon URL:www.amazon.co.jp/dp/486063943X
【おすすめその3】
『最高の結果を出すKPIマネジメント』(中尾隆一郎 著)
Amazon URL:www.amazon.co.jp/dp/4894519844
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KPIの効果的なマネジメントスキルを身に着けるために
KPIマネジメントのスキルは、上記でご紹介した通り、多くの書籍や記事が出されていますが、やはり実際に考えて、KPIを立ててみてこそ身につくスキルだと、私たちは考えています。
本記事でもその一部をご紹介しましたが、私たちが提供している「KPIマネジメント研修」のプログラムでは、組織の何に集中し、何をやらないかを明確にすることで、「実際に組織を動かし、効果を生む」、このことを確実に実現することを目指します。決して「単にKPIを立てること」が目的ではありません。
- KPIマネジメントに関する基本的な考え方を学ぶ
- 他企業の事例より「インサイト」に基づいたKPI設定法についての勘所をつかむ
- 学んだ技法を活かして実際にKPIを作成し、再現可能なKPI策定スキルを身につける
KPIを策定する立場にある皆様に、こういったプログラムをご用意しています。博報堂コンサルの経験に基づいた方法論を使って、是非一緒に、KPIの設定について考えていきましょう。