KPI

KGIとは?KPIやKSFとの違いを説明できますか?

あなたはKGIとKPIの違いを説明できますか?
また、KGIとKSFの違いは正しく理解できていますか?
この記事では、わかっているようで意外ときちんと理解されていないKGIとその他の用語の違いやKGIを設定するメリット、KGIに使用される指標の具体例、設定方法などをわかりやすく解説します。

〈関連コラム〉

KGIとは?

まずは最初に、KGIの意味とその他の用語の違いを解説します。

KGIの意味

KGIとは、”Key Goal Indicator”の略称で、”重要目標達成指標”のことです。
KGIの意味は簡単に言うと、企業・組織が設定した定量目標・数量目標です。
たとえば、小売店の目標を「売上総利益を10%アップする」と設定した場合、この「売上総利益10%アップ」という目標の達成度合いを数値化するために用いられるのがKGIです。
基本的にKGIは、1~5年ほどの長期間を対象として設定することが多いです。
また、KGIの代わりにKFI(Key Financial Indicator:重要財務指標)と呼ぶこともあります。

KGIとKPIの違い


KPIとは、”Key Performance Indicators”の略称で、”重要業績評価指標”のことです。
そして、KPIには「業績指標」「中間指標」「活動指標」の3つのレベルがあります。この中の「業績指標」がKGIです。つまり、KGIはKPIのレベルの一つということです。

〈関連コラム〉

KGIとKSFの違い


KSFとは、”Key Success Factor”の略称で、”重要成功要因”のことです。
また、KSFは場合によってはKFS(Key Factor for Success)と呼ばれることもあります。意味や使われ方はKSFとほぼ同じです。
KSFは簡単に言うと、企業・組織が「経営戦略を実現させるために必要なものや条件」のことです。
KPIの3つの指標のうち、「業績指標」がKGIであるのに対し、「中間指標」はKRI(Key Results Indicators:重要結果指標)です。KR(Key Result)とは「あるべき状態」のことで、事業目的を最も効率よく達成するための「トリガー」として機能する状態です。KSFはKRの概念に近いです。

〈関連コラム〉

KGIとKPI、KSFの関係


KGIとKPI、KSFの関係は、上の図のとおりです。
KPIには3つのレベルがあり、KGI(あるいはKFI)は業績指標、KSF(あるいはKFS、KRI)は中間指標のことです。また、活動指標はKAI(Key Action Indicators:重要活動指標)といいます。
しっかりとそれぞれの使い分けを行うことが肝心です。

KGIを設定する3つのメリット

では、KGIを設定するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、KGIを設定する3つのメリットを解説します。

メリット1:会社のビジョン・目標が理解しやすくなる

KGIを設定する1つ目のメリットは、社員が会社のビジョンや目標を理解しやすくなることです。KGIを設定することで、会社や部署の業務目標を従業員に明確に示すことが可能になります。
また、社員間で共通の目標を持つことで、社員全体のモチベーションの維持・向上にも役立ちます。
一方で、KGIを設定していない、つまり会社の目標が明確でない場合は、従業員が会社へ不信感を持つ原因にもなりかねません。

メリット2:行うべき行動が明確になる

KGIを設定する2つ目のメリットは、社員一人ひとりが行うべき行動が明確になることです。
業務指標であるKGIを設定する場合は、同時に中間指標であるKRIや活動指標であるKAIも設定します。これにより、従業員が行うべき行動を明確に示すことが可能です。
業務の最終的な目標であるKGIを設定して満足するのではなく、どのような活動をするべきかをセットで設定し、それを社員と共有することで、日々の業務の優先順位も明確になります。

メリット3:進捗状況の把握が容易になる

KGIを設定する3つ目のメリットは、進捗状況の把握が容易になることです。
KGIには、必ず数字などの定量的に測定できる項目を設定します。そのため、KGIとして目標となる数字や期限を明確に示すことで、進捗状況や達成度を管理することが可能になります。
進捗状況がしっかりと数字で把握できるようになることで、感覚でなんとなく決めるのではなく、分析をもとに的確な経営判断が行えるようになります。

KGIに使用される指標の具体例

KGIに使用される指標にはさまざまなものがあります。多くの業種でKGIとして使用されている指標の具体例は以下のとおりです。

  • 総売上高
  • 販売金額
  • 営業利益
  • 市場シェア
  • 従業員ひとり当たり貢献利益
  • 女性上位職比率
  • 新製品売上高
  • 来店者数
  • 顧客満足度

そして、これらの業績指標・KGIを達成するために、中間指標である狭義のKPI(KRI)や活動指標であるKAIを設定します。

KGIはいくつ設定するべきか?

同じ事業活動内で多くのKGIを並列に設定することは望ましくありません。
また、KGIが財務的な指標の場合、意味合いに重なりが出やすいため、そもそも複数設定する必要がありません。
ただし、管理対象としている事業の中で、ビジネスモデルやターゲットセグメントの質が異なるなど、取り組み方がまったく異なる事業が並列である場合は話が変わります。一つのKGIで管理すると、それぞれでどの程度の成果が出ているかわからなくなってしまいます。そのような場合は、KGIを複数設定し、それぞれをマネジメントする必要があります。
また、事業部単位でKGIを設定し、それを合算した数値を全社的なKGIとして、複層的に運用することも間違いではありません。

KGI設定の注意点

ここでは、KGIとしてよく使用される指標である「売上高」「粗利益」「市場シェア」の3つについて、KGIを設定する際の注意点を解説します。

「売上高」をKGIに設定する場合の注意点

売上高は、「わかりやすい」という理由で多くの企業でKGIに設定されています。
しかし、売上高には、当然ながらコストの概念が入りません。そのため、無駄なコストを抑える作用が働かず、収益性が下がってしまう可能性があります。
変動費が低く、固定費がほぼ一定のビジネスモデルであれば、売上高をKGIとしても問題ありません。そうでない場合は、売上高以外のものをKGIに設定することを検討しましょう。

「粗利益」をKGIに設定する場合の注意点

粗利益は、事業単位でのKGIとして使われることが多い指標です。
しかし、コンサルティング会社などの労働集約型ビジネスにおいて、粗利益をKGIに設定する場合は注意が必要です。それは、人を増やすことで簡単に粗利益が上がるからです。しかし、多くの場合、人を増やすことでひとり当たりの付加価値・給与が下がり、中長期的な事業継続リスクにつながります。
また、粗利益をKGIに設定すると、誰も販管費を含めた面倒な計算をして事業を評価しなくなってしまいます。そのため、真にポテンシャルの高い事業が過小評価されてしまうことがあります。
粗利益をKGIに使用するのは、管理期間内で、人件費や広告宣伝費などの販管費に大きな変動がない事業や、その比率が固定されている場合のみにしましょう。

「市場シェア」をKGIに設定する場合の注意点

市場シェアは、自社のパフォーマンスに関係のない要因による影響を受けやすいので注意が必要です。たとえば、競合の不祥事により、相対的に自社のシェアが拡大することがあります。
また、基本的に競合他社の原価やコストを詳細に把握することは不可能です。そのため、金額ベースの市場シェアとは、つまり売上高ベースとなり、売上高をKGIに設定する場合のデメリットにそのままつながってしまいます。
「自社の競合はどこか」や「どこから顧客を奪うべきか」など、戦略を検討するためには活用できる指標ですが、市場シェアをKGIに設定することは推奨できません。

KGIを分解して「伸び代」のある要素を検討する


売上総利益は、KGIとしてよく設定されるものの一つです。しかし、これをいきなりKGIに設定するのではなく、ブレイクダウン・分解する必要があります。
売上総利益は、ユニーク顧客数×来店頻度×平均客単価×粗利率と分解することが可能です。
そして、分解した要素の中から「伸び代」がありそうな部分を検討します。

たとえば、店舗にすでに魅力が十分にある場合、商圏規模である程度決まってしまう「ユニーク顧客数」にはあまり伸び代はないかもしれません。
生活ルーティンを変えることは難しいので、「来店頻度」にもあまり伸び代がないかもしれません。
毎月の予算がある程度決まっている中で「客単価」を上げるのも難しいかもしれません。
しかし、企業努力で「粗利率」は上げられるかもしれません。これが「伸び代」です。

このように、売上総利益のような大きな要素をKGIにするのではなく、ブレイクダウンして粗利率のようにより具体的な要素をKGIに設定します。

まとめ

この記事では、KGIとは何かやKGIの設定方法、具体例、注意点などをできるだけわかりやすく解説しました。
KGIは設定しておわりではありません。また、KGIだけではなく、あわせてKRI(狭義のKPI)やKAIも設定する必要があります。
最初のうちはKGIやKPIを設定するのに苦労するかもしれません。そんなときは、私たちの「KPIマネジメント研修」をご検討ください。KPIマネジメントの基本的な考え方だけでなく、事例から学ぶインサイトに基づくKPI設定方法や、実際にKPIを設定して再現可能なKPI策定スキルを身につけることが可能です。

人や組織が動くKPIの定め方というものが、ここにはある。「KPIマネジメント研修」

関連コラム

TOP