KPI

KPI事例集〜具体的なKPI設定例や決め方をご紹介

企業がビジネスで成果を上げるためには、しっかりした経営戦略が必要です。そして、その方法はわかりやすく、社員が共有できるものでなければ効果を発揮しません。
ビジネスの目標を達成するために設定される指標として「KPI」があり、さまざまな分野で活用されています。
そこでこの記事では、KPIを設定する意味やメリットのほか、設定方法についても詳しく解説します。

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そもそもKPIとは?

KPIとは、”Key Performance Indicator”の略称で、”重要業績評価指標”のことです。
KPIはビジネスで掲げた最終目標までの間、途中の各プロセスが適切に進んでいるかどうかをみる、いわば中間目標の指標です。
ちなみにKPIに似た用語に「KGI(Key Goal Indicator)」がありますが、こちらは日本語で”重要目標達成指標”を意味します。どちらも経営戦略を考えるうえで大切な指標となる数値であり、その活用方法を把握しておくことが大切です。

KPI設定に活用される「SMART」モデル

KPIを設定するときに活用されるモデルに「SMART」があります。
SMARTの「S」は具体的なという意味を表す「Specific」、「M」は計測可能なという意味の「Measurable」です。「A」は達成可能なという意味の単語「Achievable」、「R」は関連したという意味を持つ「Relevant」、そして、「T」は期限を定めたという意味の「Time-bounded」の頭文字です。

KPI事例集〜KPIの具体例を紹介!

KPIの決め方としては、インサイトを起点とした企業独自のストーリーを考えることもポイントになります。その際に、他社の具体的な事例はとても参考になります。
ここでは、インサイトを起点としたKPI設定事例を紹介します。
なお、本記事で紹介している事例は、『人と組織を効果的に動かす KPIマネジメント』(楠本和矢著)の中で紹介しているものです。

KPI事例集1:日本航空株式会社(JAL)

2010年の経営破綻後に劇的なスピードで復活を遂げたJAL。
事業再生にあたって、大目的を「顧客満足度を高めること」とした。それを達成するためには「各便が定時到着していることが重要」と考え、KPI(KRI)を「定時到着率」に設定した。
そして、「最高のバトンタッチ」をキーワードに、定時運航のために各部門で改善活動を実施。運航に関わるあらゆる情報を収集するだけでなく、客室乗務員や整備士も機内清掃に協力、手荷物搭載時間を短縮するための搭載計画を立案するなどした。
その結果、2015年には、米国FlightStats社より「定時到着率世界一」の称号を獲得し、V字回復後の業績も安定的に伸張した。

KPI事例集2:株式会社丸井グループ

マルイ来店顧客の女性比率は80%以上であるため、女性社員の存在が不可欠である。
そこで、大目的を「女性が真に活躍している会社を実現すること」に設定し、女性社員が長く働けるように社員の価値観や働き方を変えるため、各種制度を整備した。
また、当初は、女性社員の多くは、出産・子育て後に復職することや上位職で活躍するイメージがしにくい状態で、結婚・育児前でも、仕事と家庭の両立に対する不安を持っていた。
それらの問題は、女性社員が本気で上位職を目指している状態と全社員が本気で「女性の活躍が必要である」と考える状態を作ることで解決できると考えた。
そして、「女性活躍浸透度」や「女性の上位職志向」など、社員の「意識」に関する項目を主要なKPI(KRI)として掲げた。
その結果、厚生労働省の「子育て支援に積極的に取り組んでいる企業」などの賞を複数受賞し、企業のブランド価値向上にも貢献している。

KPI事例集3:株式会社あさひ

自転車小売業で急速な発展を遂げた「サイクルベースあさひ」。
量販店の低価格攻勢を跳ね返し、成長するきっかけとなったのは「サンキュー点検」と呼ばれる、390円で自転車のメンテナンスを行うアフターサービスの導入・強化だった。
大目的である「各店舗における売上の向上」を実現するために、まずは既存顧客が定期的に来店してくれている状態を作ることが重要だと考えた。
そして、KPI(KRI)を「サンキュー点検の登録者数」とし、新規・既存顧客の積極的な取り込みを行なった。
自動車の「車検」のように、気軽に定期点検を行えるような概念を持ち込み、まずはサンキュー点検を積極的にアピールした。
その結果、顧客数の増加が売上増加に寄与。自転車小売業としては異色の東証1部上場企業となり、今では、名実ともにリーディングカンパニーへと成長した。

KPI事例集4:株式会社サイゼリヤ

サイゼリヤは、独自のローコストオペレーションによる低価格が特徴だ。このローコスト実現の背景には、徹底した生産性の向上がある。
大目的である「コストパフォーマンスに優れた料理の提供を通じた各店舗の売上アップ」を達成するには、「1人の1時間の生産性が圧倒的に高い状態を作る」ことが重要だと考えた。
また、その状態を作るために、従業員1人が1時間で生み出す粗利益を示す「人時生産性」をKPI(KRI)として設定した。
その結果、従来は開店前に1時間費やしていた作業が半分の30分に短縮するなど、目に見える形で生産性が向上。人時生産性の業界平均が3,000円程度とされている中で、サイゼリヤはそれを大きく上回る4,000円を実現している。今後は、これを6,000円まで高めようとしており、改善に暇がない。
なお、サイゼリヤの平均年収は600万円と、給与水準も高く保っている。

KPI事例集5:ハウステンボス株式会社

創業以来18年間、巨額の赤字だった長崎「ハウステンボス」。2010年にHISが経営権を取得し、初年度で黒字に転換させた。
大目的である「来場者数の増加」を実現するためには、「多くの『ここにしかないイベント』が開催できている状態」が重要だと考えた。
そこで、KPI(KRI)に「『オンリーワン・ナンバーワン』のイベント展開数」を設定した。
そして、「花の王国」「光の王国」「ゲームの王国」「音楽とショーの王国」「健康と美の王国」「ロボットの王国」の王国シリーズや、日本初のロボットホテル・ロボットレストランなど、さまざまな独自のイベントを開催。
その結果、話題性が高まり、入場者数はV字回復。140万人にまで減った来場者数も300万人以上に回復するところまで復活を遂げた。

KPI設定の成功例から学ぶ

本記事では、インサイトを起点としたKPI設定事例を紹介しました。
現状や過去の業績、成長率などは企業によって異なります。また、業種やどの部門の業務に設定するかという点をとっても同じものはひとつもありません。
たとえ似たような状況でも、目標をどのくらいに定めるかはその企業によって違います。そのため、ここで紹介した事例はあくまでも参考とし、活用方法の基本をおさえたうえで、独自のストーリーを構築し、目標を設定するようにしましょう。
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