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〈HR RUNNERS vol.7〉”働きがい”8年連続ベストカンパニーウィルゲートが行う人事施策とは

ーー人事施策は組織を支え、変えていくもの。「働きがいのある会社」が生み出してきた、事業フェーズごとの人事施策とは。

HR RUNNERSは、HRの前線を走る第一人者からお話を伺い、“これからの時代の働き方や組織の在り方”とは何なのかを皆様と一緒に考える対談企画です。第7回のテーマは、「ウィルゲートが行う人事施策とは」。数々の人事施策を着実に生み出した結果、今は2020年版 日本における「働きがいのある会社」ランキングで8年連続ベストカンパニーに選出される企業になったウィルゲート。今回は実際に様々な困難を乗り越えてこられた共同創設者の吉岡様、そして人事責任者の北林様をお招きし、同社のお取り組みの数々について伺いました。
※本対談記事は、11月6日に開催したオンライントークライブより編集したものです。

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Profile
吉岡 諒 氏
株式会社ウィルゲート 専務取締役COO 兼 共同創業者
1986年岡山生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。代表取締役小島と共に2006年に株式会社ウィルゲートを設立。個人として累計で2,000社のWebマーケティングの課題解決提案を実施。2012年に記事作成「サグーワークス」、2014年にメディア「暮らしニスタ」、2018年にはSEOのAIツール「TACT SEO」、2019年にはオンラインで編集チームが作れる「エディトル」、2020年にはM&A仲介支援サービス「Willgate M&A」をリリース。COOとして全サービスの管掌役員を務める。

北林 賢太 氏
株式会社ウィルゲート 人事責任者
京都大学工学部卒業、同大学院経営管理専攻修了後、2013年にウィルゲートに新卒でジョインし、人事配属。採用・人材育成・組織活性化・評価・労務を担当。その後、事業開発部門に異動し、出版社と共同運営する新規メディアの立ち上げ責任者を担当(2018年4月リリースし2019年10月に一部売却し終了)。その他、大手流通系クライアントのオウンドメディア戦略のコンサルティングと運用支援も経験。2018年10月から人事部門責任者。

〈聞き手〉
楠本 和矢
HR Design Lab.代表
博報堂コンサルティング 執行役員
神戸大学経営学部卒。丸紅株式会社で、新規事業開発業務を担当。外資系ブランドコンサルティング会社を経て現職。これまでコンサルティングプロジェクトの統括として、クライアント企業に深くコミットするアプローチのもと、多岐にわたるプロジェクトを担当。現在は、HR Design Lab.代表として、「マーケティングとHR領域の融合」をテーマに、現場での実践に基づいた様々なHRソリューションを開発提供。特に、組織の創発力強化・生産性向上を目的とした取組みに注力。

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「働きがいのある会社」8年連続選出のウィルゲートとは

楠本:今日のゲストは、「働きがいのある会社」ランキングで8年連続ベストカンパニーに選出されるウィルゲート社の共同創業者である吉岡様と人事責任者の北林様です。まずは、コンテンツマーケティングの領域における日本のトップオピニオンリーダーのひとりである吉岡様、自己紹介をお願いいたします。

吉岡さん(以下、敬称略):株式会社ウィルゲートの吉岡と申します。ウィルゲートは2006年6月設立、現在の社員は150名ほど、平均年齢は29.3歳の会社です。経営理念は、「一人ひとりの『will』を実現する」です。事業を簡単に説明すると、創業事業はSEOコンサルティングで、最近は、ウィルゲートのコンサルティングを受けなくてもお客様自身でSEO分析ができる「TACT SEO」というSEOの分析ツールを開発しています。また、フリーランスのライターと編集者を27万人囲い、記事作成の支援ができるプロダクトを運営しています。コンサルティングだけでなく、Googleからの評価に重要な優良なコンテンツ作成のお手伝いを我々がすることで、SEOとの事業シナジーを生み出しています。そして、SEOによるウェブでの集客と良質な記事の作成という2つの強みを活かして、3つ目の事業としてメディア事業を行っています。「暮らしニスタ」という主婦向けのアイデアサイトは、この6年で月間4,000万PVという規模に成長しました。今後の方向性としては、中小企業・成長ベンチャーを中心とした企業の経営のデジタル化を支援していく事業に力をいれていこうと考えております。

 

事業の変遷と人事施策は結びつく

吉岡:ウィルゲートは学生ベンチャーで、代表の小島と私は小学校の幼なじみかつ親友です。高校を卒業した3日後に、お年玉貯金でパソコンを2台購入して起業しました。私はCOOとして事業の立ち上げや事業全般を担当し、代表の小島は、新卒採用や管理部門、人事を担っています。事業の変遷と人事施策は結びつくので、事業周りや会社の歴史については創業者の私が、人事施策については人事責任者の北林が、という役割分担で本日はお話をしたいと思います。

楠本:ありがとうございます。そして、人を育てるウィルゲートで様々な人事施策を生み出し、まさに大黒柱として活躍されている北林様、自己紹介をお願いします。

北林さん(以下、敬称略):ウィルゲートの北林と申します。新卒でウィルゲート社に入社し、8年目になりました。入社当初から人事を担当し、採用・育成・活性化・労務・広報・評価制度などを担当しております。ベストカンパニーに選んでいただいているのですが、私たちも、失敗した制度施策や組織としてコンディションが下がり辛い時期などもありました。今回は、そういうタイミングで、どのようにカバーアップしていったかについてや、なぜそういった状況になってしまったのかなど、「しくじり先生」のような、明日から活用できるお話になればと思います。

 

実力主義から理念経営へシフト

吉岡:ウィルゲートでは、理念や組織を大切にしているのですが、そこに注力するようになった背景からお話しします。小学校の時、代表の小島と私は同じドッジボールチームに所属し、全国一位になることを目指していました。その時に、素敵な仲間と高い志を持ってやることの魅力を感じ、ウィルゲートもそういう素敵な組織にしたいという想いから、慶應義塾大学在学中に学生起業しました。事業は非常に好調で、当時19歳の私たちは、2期目に、エンジェル投資家4名から1億円を調達しました。当時はヒルズ族がもてはやされていた時代で、「自分たちもITの領域であれば最年少上場できるのではないか」という考えで、1億円調達後に組織を急速に拡大させました。その時に、我々の力不足で、組織崩壊による経営危機が起きてしまいました。この失敗経験があったからこそ、改めて「仲間が大事だ」「理念が大事だ」ということになり、その後、組織がいい方向に向かい、今に至ります。

楠本:学生起業から始まったウィルゲートの、その後の歴史について少し教えていただけますか。

吉岡:2007年には10人だった社員が、1億円の資金調達後の2008年には30人になっています。当時、我々は20歳で、営業経験もコンサルティング経験もありませんでした。そこで、専門性があるキャリア採用を行いました。正直、人柄よりも「実力主義だ」ということで、応募者の前職が有名な会社でMVPを取っていたとか、どれくらいの数字を作っていたかなどを見て、スキル採用のようなことをしてしまいました。また、当時は最年少上場を目指していたことから、理念やミッションで惹きつけるというよりも、将来の部長ポストの約束やストックオプションなど、かなり外発的動機で仲間を集めていました。
そういった中で組織をうまく束ねることができず、会社全体の業績も上がらず、毎月700万円の赤字が出てしまうような状況でした。今にも倒産しそうな状況だったので、再挑戦するには、経営者である小島と私が「ウィルゲートが目指す場所」や「理想の組織」について本気で考え、組織を再構築する必要がありました。これまでなかなか向き合えていなかった社員たちにも真剣に自分たちの想いを伝えた結果、30名中20名が退職となりましたが、10名は想いに共感して残ってくれました。それ以降、「どういう仲間と働きたいのか」や「理念としては何を大切にしたいのか」、ということを言語化するようになり、組織が成長するようになりました。

 

組織の状況を定量的に分析する

楠本:それでは、会社の理念をどのように伝えていったのかや、その後の成長ストーリー、フェーズごとの課題や取り組みなどについて、お話を伺いたいと思います。

吉岡:ウィルゲートでは、2012年から、リンクアンドモチベーション社のサーベイサービスを使っていました。これにより、組織状況が定量的に過去8年分溜まっており、組織施策の方向性を決めるための参考にしています。

楠本:これは同業者の中での偏差値ということでしょうか。

吉岡:いえ、リンクアンドモチベーションさんのサーベイ導入先の中での偏差値になります。このスコアが、2013年の65というかなり高い状況から始まり、2016年に57まで落ちて復活していったのですが、なぜ高かったか、なぜ落ちたのか、なぜ持ち直したのか、という話をします。事業フェーズとして、2012年に我々の管理不行届で情報漏洩の事故を起こしてしまい、実は2013年には倒産危機がありました。しかし、当時は組織施策を頑張っており、そんな状況でもスコアは65と高い状況でした。情報漏洩の事故は新規事業のメディア事業で起こしてしまい、月の粗利3,000万円が失われてしまいました。業績も少し悪くなり、事業整理が行われました。2013年から2015年は、SEO事業は非常に好調だったのですが、SEOの一本足ではなく、「事業を多角化しよう」という「撤退&多角化」のフェーズでした。2013年にはSEOの同業2社をM&Aで事業買収し、2014年にもSEOの会社を事業買収、またメディアの会社を事業買収、というように、SEOの利益基盤をもとに、M&Aなどを通じて伸ばしていきました。2015年から2017年にかけては「選択と集中」のフェーズでした。Googleのアルゴリズム変動が非常に大きく、本業のSEO事業がマイナスに振れた時期がありました。その際に、新規事業の投資余力がなくなり、事業を絞ったり、経営幹部が辞めたり、ということが起きました。2017年からの「拡大」フェーズでは、「成長は悲しみを癒してくれる」という形で、成長に数字も伴っていたという事業コンディションです。

 

事業フェーズごとに調整してきた人事施策

北林:事業フェーズによって起きていた課題は様々でした。サーベイを実施することにより、「どの部門が全体的にエンゲージメントが低い」とか「 男性と比較すると女性は、ここの項目において満足度が低い 」ということがわかります。数値が高いからよい、というわけではなくて、組織課題をマクロ的に捉えたり、組織施策に取り組んだ結果スコアがどのように変化したかのモニタリングのために活用することが多いです。数値のみに引っ張られず、社員の生の声を参考にすることももちろん大切にしてきました。正解がないものなので、常に試行錯誤しながらやっています。現在は、人事施策の4本柱として、「多様性」「コミュニケーション」「成長支援」「家族」を掲げています。昔は単一事業で営業部門の人材の比率が高かったのですが、いまは事業もプロダクトも多角化してきたので、多様な職種の人材が活躍しています。また、ライフステージの変化も目まぐるしく、変化に適応し事業・組織をグロースさせるために人事施策も改廃を繰り返してきました。

楠本:モチベーションサーベイのスコアに、どの施策がどれだけ効いているか、という分析もできるのでしょうか。

北林:できないこともないと思うのですが、一つの施策が要因となりスコアが決まるわけではないので、施策ごとのモニタリングは個別のアンケートやヒアリングで実施することの方が多いです。

吉岡:例えば、サーベイ結果と向き合っていると「女性の声をしっかり組織施策に反映できていないのでは」と感じるようなこともありました。数年前は今よりさらに男性比率の方が高く、創業経営者の私も小島も男性なのも影響していたと思うのですが、働き方や結婚・出産後のキャリアへの不安を、みんなの声からも感じました。そうした中で、時間単位での有休、時短・週4勤務などのフレキシブル働き方を実現するための制度が生まれていきました。

楠本:マクロなデータで把握し、ミクロな取り組みを行い、アンケートを取って、高速でPDCAを回していく。このようにして、今のウィルゲートのいろいろな施策が出来上がったということですね。

北林:おっしゃる通りです。先ほども申し上げたとおり、スコアが高いからよい、とするのではなく、定点観測して、「組織体制の変更に伴いどういう変化が起きたか」「注力投資した領域のスコアは改善されているのか」「全社の波形と比較してどういうズレが生じているのか」というような切り口で組織を眺めて課題整理していくことが大事だと考えています。

 

実例①優秀な人材を採用するための人事施策

楠本:それでは引き続き、それぞれのフェーズでどんな施策に注力されてきたのかといったお話を伺いたいと思います。

北林:全フェーズにおいて、価値観がフィットした人の採用を大事にしてきました。2011年からは新卒採用も強化しています。以前は営業部門配属を中心としていましたが、事業の変遷に伴い、マーケティング部門・事業開発部門への配属も増え、エンジニアの比率も高まっていきました。事業戦略と紐づけて、採用戦略を行っています。また、新卒採用は中長期の投資であること、当社の事業モデル的に育成にある程度の期間を有することから「経営幹部候補に絞った採用」が新卒採用の1つのテーマになっています。

吉岡:一人あたりの採用単価は数年で4~5倍になっていますが、若手社員が事業の一領域やマネジメントを担い牽引している姿を見ていると、適切な投資だと感じています。

楠本:なるほど。本当に事業と人事が一体となっているのですね。

吉岡:新卒採用の具体の方針を少しお伝えすると、地方への注力はかなり実績に繋がったと感じています。いまはコロナの影響もあり控えていますが、代表の小島が地方大学を行脚していた年もあります。北林も京都大学の院卒なのですが、新卒入社だと、地方の国立大学出身の人材の比率が高いですね。中途採用では、もちろん全国行脚するわけにもいなかったので、同様の戦略は取れず、人材基準を上げていくのはかなり苦戦しました。3年前からリファラルに注力したことにより実績がではじめ、過去3年間、リファラル採用の数が4人、7人、15人という形で増え、中途でもスピーディに即戦力人材を採用できるようになりました。現在、中途採用のリファラル採用比率は50%を超えていて、採用スピードも上がり、コストもかからずに優秀な人材を採用できています。

楠本:すごくマーケティング的ですね。

 

実例②コミュニケーション強化のための人事施策

北林:事業を多角化していくにつれ、人材も多様化していったので、2012年あたりから、繋がりや連隊意識を強化する施策に注力しました。多角化したり、多様な職種が生まれることで、会社全体や部門間での連携が取りづらくなると思ったからです。運動会や周年パーティ、ファミリーデーや全社アワードなど、様々行いましたが、やはり最初は他社さんから話を聞いて、真似ることから始めましたね。事業フェーズが変わる中でも、全社的な一体感をもった組織にできたように思います。

楠本:なるほど。このフェーズにおける人事施策の共通テーマは「つながり」でしょうか。

北林:そうですね。人数が増えてくると「知らないから興味がない。必然応援も支援も賞賛も生まれない。」というようなことが起きやすくなります。そのため、まずは相互に認識をする機会を作ったり、興味をもてるように促すことで、全社的なつながりを強化してきました。

吉岡:この時からコミュニケーション手当ての支給も開始し、上司と部下でも、同僚とでもコミュニケーションを取ることを推奨し始めました。

楠本:その背景には、コミュニケーション不足があるのでょうか。

北林:明確に「不足しているな」と思っていたわけではないのですが、当社に入社したメンバーが、そもそもそういう連帯意識が高いメンバーが多くて、それを強化することが事業成長の一助に繋がるし、メンバーのエンゲージメントを高めることに繋がると思ったんです。入社前に、小島と吉岡の関係性を見て「こういう信頼関係っていいな」と思ってくれて入社を決めてくれているメンバーが多いなと感じる機会が多いです。

吉岡:入口のタイミングで、「何をやるか」だけではなくて「誰とどこを目指すのか」という部分も訴求しているので、チーム感を求めている人が多く、コミュニケーション施策が有効だったのではないかと思います。

楠本:そういう「つながり」が入社前のひとつのイメージや期待だったので、それをテーマに施策が展開されていったということですね。2015年から2016年にかけて、スコアがぐっと下がっていますね。

北林:はい。ここは、少し社員に甘えていた部分がありました。2015年から組織投資を弱めて、「事業を固めにいくぞ」というフェーズでした。周年イベントや全社のコミュニケーション施策への投資を弱めた中で、「これから」というタイミングにも関わらず、離職者も増えてしまいました。正直、このタイミングで組織投資を弱めたのが是だったのか非だったのかというのは、わからないところがあります。

吉岡:先ほどお話ししたコミュニケーション手当も、ゼロにはしませんでしたが削りました。

楠本:そういったものがどこまで必要で、どこまで残すべきか、というのは難しいですよね。

吉岡:コミュニケーションの投資だけでも、年間1,000万円から2,000万円かかっていたので、これを開発投資やマーケティング投資に充てるという意思決定をしました。そこを絞ったからこそ、しっかりと事業投資ができたのですが、組織としてガタついてしまった一つの要因だとも思っています。

楠本:皆さんにしっかりと納得してもらわないと、「なんでこんな一方的に減らされるんだ」となってしまう可能性がありますよね。

吉岡:新卒採用の時に、事業成長の夢を語って採用しているので、事業が成長しないということは、信じて入社してくれた皆さんを裏切ることになると思います。コミュニケーションを取るか事業投資を取るかという時に、人事ともしっかりと話し合って理解してもらいました。

 

実例③多様な働き方に対応する人事施策

楠本:そして、最後のフェーズは拡大期ですね。

北林:はい。この時期から組織投資を再開しました。組織への投資体力が厳しかった時は、予算をかけすぎずに、時間単位の有給取得制度やハッピーアワーという出社時間が選択できる制度などを作りました。金銭的なコストゼロで満足度が大きく向上したので、ぜひ皆さんにも取り入れていただきたいです。これだけで、サーベイの「多様な働き方」という項目の数値が上がりました。あとはコミュニケーション系の施策への投資を再開させたり、多様性がより増していた状況を鑑みて新しい制度を作ったりしましたね。

吉岡:2016年からは副業もOKにして、現在、社員の25%が副業をしています。当時、素敵な方からの採用応募があったのですが、「副業NGだとこの人を採用できない」ということもありましたので、「いい仲間を採用する」ということが強いインセンティブとなり、副業をOKにしました。導入後も大きなトラブルはなく、みんな、自分が得意なことや好きなことで会社以外から報酬をもらえることの満足感が大きいようです。また、もっと稼ぎたい人たちにとって、自分の勤めている会社の給料を月5万円上げるのには時間がかかります。副業で月5万円稼げれば、家庭的にも嬉しいし、「転職して給料を上げなくても副業すればいいや。ウィルゲート好きだし」となっている印象があります。

楠本:副業が採用という入口に効いているというのは目からうろこでした。「この施策はすごく効果的だった」と感じる施策をひとつ教えていただけますか。

吉岡:ディレクター制度というスペシャリスト制度です。以前は、「課長・部長・役員が偉い」という考え方がありましたが、マネジメント職のポストは限られています。課長・部長・役員よりも給料が高いスペシャリストは存在していたものの、組織図を見てもそれがわかりませんでした。そのため、スペシャリストに対する憧れが生まれませんでした。そこで、スペシャリストのことをディレクターと呼び、組織図にもスペシャリストマークをつけることにしました。また、肩書きも、営業からアカウントエグゼクティブ、コンサルタントからエグゼクティブコンサルタントのように、かっこいい肩書きにして、「この人はスペシャリストで給料が高い」ということが周りからわかるようにしました。以前は、スペシャリストが承認されずに辞めていくということが起きていましたが、現在は、マネジメントよりスペシャリストの方がいいのではないか、というほどに雰囲気が変わりましたので、この施策をやってよかったと思っています。

楠本:素晴らしいですね。本人のモチベーションも上がりますよね。すごくマーケティング的、論理的に考える会社さんですが、同時に人間味があるアプローチをうまく織り交ぜられているという印象を持ちました。

 

コロナの影響を踏まえた上での今後の取り組み

楠本:コロナの影響で、昨年までのような取り組みができない状況です。そんな状況で、今後、どういった人事施策を展開していくのか、考え方や具体的な取り組みについて最後にお伺いして今回の対談を終了したいと思います。

吉岡:現在、ウィルゲートの事業方針として「デジタル変革」を進めています。人がやるべきことと、AIやシステムがやるべきことを切り分け、さらに、正社員がやるべき業務と、外部のフリーランスの人にお願いする業務を切り分け、生産性を上げていこうとしています。先日Twitterで、「この業務をお手伝いしてくれるフリーランスさんいますか?」とつぶやいたら、30〜40人から応募があり、採用費ゼロで採用できました。今後は、正社員じゃなくてもできることは、外のフリーランスの力を借りながらやっていくということを進めています。

北林:ウィルゲート社は、横のつながりや会社としての連帯意識が特徴の一つだと思っているのですが、社会情勢的にこれまでのやり方でそれを強化していくのが難しくなってきました。現在は、ウェブ上の仮想ランチ室を作ったり、ウェブ会食のお金を支援する制度を作ったり、ウェブでの部活動もできるようにしています。また、今年度行ったウェブの表彰式の満足度が100%で、変化が求められる中でも、試行錯誤をしていけば新しい形での組織施策が作れることがわかりました。ウェブ移行はとても不安なことばかりでしたが、社員が協力的で一緒に作ってくれたり、意見をくれたことが本当にありがたかったです。エンジニアが弾幕でコメントしてくれたり笑、オフライン開催よりも、双方向でよい場になったんじゃないかと思うくらいでした。世の中的にも苦境で変化が求められる局面ですが、経営者や人事が、組織に対しての理想と誇りをもって会社づくりをしていくことが大事なのではと思っています。

楠本:本日は、本当にありがとうございました。

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