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Web会議でのファシリテーションの方法とは?その技法やルール、ポイントをご紹介

昨今は、コロナ禍の影響でWeb会議を行う機会が増加しています。
自宅や出先など、どこからでも会議に参加できるというメリットがある一方で、面と向かって行う会議と比べて、Web会議は進行が難しい、という声も多く聞きます。
そこで、この記事では、Web会議を行う上で欠かすことができないファシリテーションの技法や、Web会議をスムーズに進める方法やルールについてご紹介します。

Web会議やオンラインミーティングでのファシリテーションとは

今まで行っていた通常の面と向かって行う会議でもファシリテーションはとても重要でした。
しかし、Web会議では、ファシリテーションの重要性がより高まります。
ここでは、ファシリテーションに注力する必要性とWeb会議でのファシリテーションのあり方について解説します。

なぜWeb会議でファシリテーションに注力するのか

“働き方改革”というフレーズが世間に完全に浸透したものの、ではそれを一体どのような取り組み方をもって具現化するのか、各企業が頭を悩ませていました。
長時間労働や働き手の不足、正規・非正規の雇用格差など、改善を必要とするテーマは多岐にわたりましたが、そんな中で多くの企業がクリティカルなテーマであると判断し、フォーカスを当てたのが“会議の改善”でした。

「実施時間がだらだらと延びてしまう」「明確な結論が出ないまま持ち越しになってしまう」「発言者が偏ってしまう」などの会議の課題はあらゆる企業に共通して聞かれます。
その課題を解決するために、ファシリテーションの概念の浸透、および、質の高い会議運営をリードするファシリテーターの育成が急がれました。

我々が展開する研修プログラム「ファシリテーションJAM」をご受講頂いた企業様の事後談として、受講メンバーの会議への臨み方が変わり、議論の内容が目に見えて良くなったというお話を頂きます。やはりまず会議の場にファシリテーター役が存在しているかどうか、そして個々がこの概念を理解できているかによって、会議に起こりがちだった無駄が省かれ、その場が生み出す価値が高まるものであるということを実感できます。
これは“働き方改革”における取り組みの一つの答えであると考えています。

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Web会議ではファシリテーションのあり方も変わる

情勢とは日々変動するものです。
現在進行形で、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的に猛威を振るい、大変な脅威となっています。国内でも感染者数が日々増加しており、外出は制限され、テレワーク・リモートワークを推進する企業も非常に多くなっています。かくいう私も現在、テレワーク中の自宅でこの記事を執筆しています。
密室で複数名が集まって対面で実施する会議は実施できなくなりました。

「この機に社としてテレワークに初めて本気で取り組んでみたら、意外とスムーズに運用できることが分かった」など、この局面をむしろプラスの気付きに繋げられている話を少なからず耳にします。
これは会議スタイルについても同様にいえることでしょう。このようなポジティブな視点から、今後の会議のスタイルについて考えてみましょう。

従来は一堂に会し対面で実施することがスタンダードであった会議ですが、最近はZoomなどを活用したWeb会議の機会が非常に増えています。これは現況に応じた一時的なものではなく、今後新しいスタンダードとして、頻度が増えていくものであると考えています。

そんなオンライン会議においても、その質を担保するためにやはり欠かすことができない存在が先出のファシリテーターです。

Web会議でのファシリテーションの方法とポイント

Web会議でのファシリテーションの方法は通常のファシリテーションとどのように違うのでしょうか。
ここでは、Web会議でのファシリテーションの技法やルールについて、我々の私見も踏まえながら解説します。

Web会議でのファシリテーターの役割

まず、我々の考える会議におけるファシリテーターの役割は大きく以下の通りです。

  • 議論の流れを構成する
  • 問いを立て、意見を引き出す
  • 議論の内容や流れを可視化する
  • 意見を整理し、皆の納得感のある結論へ導く
  • 議論の行き詰まりを解消する

上記は、対面の会議、そしてWeb会議においても完全に共通しています。実施の形態が対面であれオンラインであれ、上記の役割を全うできることこそが、優秀なファシリテーターとしての証です。
会議の実施前にあらかじめアジェンダを作成し、展開しておくことでスムーズな議論の土台を作っておく。議論の最中は常に答えやすい問いを立て、参加者全体から意見を引き出していく、など。
そうした一つ一つのファシリテーターによる下支えによって、活発な発言が飛び交う、質の高い議論が形成されるという点は変わりません。

Web会議でのファシリテーションの技法とポイント

それでは、オンラインのWeb会議だからこそ、プラスして配慮・工夫しなければいけないこととは何でしょうか。以下、各ポイントごとに解説します。

〈ポイント1〉システム上の不具合が生じていないかをチェックする

音声と映像に問題が無いか、必ず最初にチェックしましょう。ここを確実に整備しておかないと、取り残されるメンバーが生じてしまい、会議遂行に支障が出ます。
Web会議でのファシリテーションの方法を理解する以前に必要な作業です。

〈ポイント2〉ホワイトボードツールを活用する

Web会議は、対面の会議以上に議論が空中戦になってしまいがちです。「現在の論点は何か」「決定した事項は何か」等のポイントを可視化するツールをしっかりと使い、メンバー全員が共通の認識のもとに議論を進めることが大切です。
これは通常のファシリテーションにおけるホワイトボードに相当するもので、オンラインでは会議システムに当該の機能が無ければ、「Googleドキュメント」などを活用することをおすすめします。後のことも考え、議論をとにかく形として残す方法にすることが大切です。

〈ポイント3〉議論の節目ごとにこまめに区切る

Web会議では対面と違い空気感が伝わりづらく、発言しづらい場合もあります。そのため、取り残されるメンバーの発生を防ぐためにも、節目ごとに「今の話で分からなかったことはありませんか?」「言いそびれたことはありませんか?」といった確認を、丁寧すぎるくらいにとるようにしましょう。

〈ポイント4〉発言者に対し、必ず分かりやすくリアクションをとる

これは一番大切なことかもしれません。Web会議は個々が一人で参加しているため、孤独感が生じやすいものです。何か発言しても誰からもリアクションが無ければ、以降の発言に支障が出てしまいます。そのため、何か発言されたら必ず、少々オーバーな程でも相槌やリアクションをとることが重要になります。これはチャット機能を活用してのリアクションでも構いません。ファシリテーターのみならず、メンバー全員の共通のルールとしてもよい内容です。

〈ポイント5〉議論終了時に議事を全員で確認・手入れして決定事項をすり合わせる

議論が終了したら、先出のホワイトボードツールの内容やチャット上に記された内容を振り返りながら、今回の会議で決まった内容やタスクを必ず確認してください。万一、何らかのトラブルで議論から取り残されてしまったメンバーがいる場合も想定し、これも念入りに実施することが望ましいでしょう。

結局はファシリテーションの基本技法に立ち返る

総じて言えることは、「オンラインのWeb会議になれば、ファシリテーターにはより一層の丁寧さが求められる」ということです。オンラインは便利な反面、コミュニケーションの基礎である“相手の表情や意図をくみ取る”ことの難易度がどうしても上がってしまいます。
そのため、Web会議のファシリテーターは丁寧すぎるぐらい丁寧に確認を挟みながら進め、しかし参加者一人一人の意見はいつも通りに引き出し、議論を活性化させることを求められます。
難易度が高いようにも思われますが、システムの運用に慣れてしまえばきっと問題なくこなせるようになることでしょう。本来のファシリテーションとは土俵が変わるだけで、参加者一人一人の知を活かしながら、議論を活性化させるという目的は変わりません。

今般の情勢にも見て取れるように、ビジネスシーンではその状況に合わせて様々な対応力を求められるようになっています。会議の執り行い方もその一つであり、オンラインのWeb会議でのファシリテーターの存在価値も今後更に高まっていくことでしょう。
あくまでその根底にある概念は変わらずとも、有益なツールに常にアンテナを張りながらフルに活用し、そこにメンバーを巻き込みながら生産性の高いアウトプットへと導く。そんな次世代のリーダーに求められている“適応力”のカタチをご紹介しました。

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花崎 洋
大学卒業後、株式会社USEN入社。Webメディア事業に従事し、営業から運用改善コンサルティング業務までを経験。その後BtoBアライアンス/パートナー制度の立ち上げ計画を牽引し、関東エリアリーダーとして外部販売チャネルの確立、収益安定化に成功。博報堂コンサルティング入社後は新規事業開発・育成に携わり、HR領域で企業の本質的成長を支援する専門組織「HR Design Lab.」の発足に参画。

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