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KPIマネジメントの運用でありがちなミスとは~うまくいかないKPI設定のケース~

KPIを設定するといよいよ運用が始まります。KPIは設定することが目的ではなく、スコアを取って運用をしていくことが重要です。

しかし、KPIマネジメントを取り入れている企業からよく聞こえてくるのは、有効に働いているかどうかの不安な声。KPIの運用にありがちなミスは、すでに始まっている可能性があります。

KPIについては以下の記事で詳しく解説しています。

KPIマネジメントでありがちなミス

では、どのようなことがミスの引き金になるのでしょうか。

硬直的なKPIが運用のミスを誘う

一度決めてしまったKPIを指標として運用を始めていくうちに、その妥当性が検証できない場合が出てきます。このような場合であっても、ついついそのままの状態で運用をしてしまうとKPIが機能していない状況に陥ることになるのです。KPIマネジメントがうまくいっている場合は、放置などせずにすぐに対応します。一度決めた目標は変えられないと思いがちですが、それは大きな間違いです。

ことKPIに関して言えば、目標の妥当性が検証されなくなったり、ビジネス環境に大きな変化によって効率が悪いことになったりするのであれば、即KPIの変更を行うことが重要です。柔軟で動的なKPIがマネジメントを成功へと導きます。これまで硬直的になりがちな大きな組織や企業であっても、KPIマネジメントの運用を改めて見直すことで、より柔軟な対応を行うことができ、運用のミスを減らすことができるのです。一度決めたKPIは、絶対善ではありません。常にKPIに対して検証を行い、目標が妥当であることを認識できるようにしておかなければなりません。

対象となる人によってはマイナスになるKPI

接客スキルの高い販売員の売り上げだけをKPI設定すればどうなるでしょう。当然のことながら、売り上げを上げるためにできるだけ単価の高い製品や不要かもしれない商品を上手に売り込んでいくことになります。

しかし、これは最終的には顧客満足度を下げることにつながります。顧客が欲しているものではなく、企業が売りたいものを販売し続けることはマイナスの要因です。コミュニケーションスキルの高い人であればあるほど結果は出せますが、中長期的に見ると企業の売り上げは下がっていくことは容易に想像できます。

では、顧客満足度をKPI設定すればどうでしょう。今度は売り上げに短期的に反映がされません。そうなると、顧客満足度のスコアだけに結果を頼ることになりますが、どのように顧客満足度を図り、それがどのように会社に利益に結び付いているかを判断する方法がありません。中長期に見るといいとしても、それをどうやって立証すればいいでしょうか。売り上げを上げていくことが本来の目的である事業ですから、それがどのように回り回って結果に結び付くかをストーリー化できません。そうなると、そもそもKPIとしての指標にならないのです。

KPIにオプションは不可欠

KPIを設定するときには、これまでのさまざまな情報を照らし合わせて、これだと思うデータからKPIを決めていくことになります。しかし、そもそもKPIを決める段階で十分なデータが集まっているかと言えば、多くの場合はデータ不足に陥りがちです。そのため、議論の多くは推測をしながら進めていくことになります。このような状態で議論を進めていく場合には、できるだけたくさんのオプションを洗い出しておくことが重要です。

一つひとつを慎重に議論し、最終的なKPIを設定していくことで、的確なKPIを決めることができ、運用が可能になります。データとして測ることができるものを単純にKPIとして設定してしまうと、最終の目的である利潤の追及に合わないスコアでKPIを運用してしまい、結果的にミスディレクションをしてしまうことになるのです。しっかりとオプションを洗い出しておくことは、KPIの運用のミスを防ぐことにつながります。

PDCAを回せないKPI

事業を進めていく環境は刻一刻と変わっていきます。そのなかで順応性の高いマネジメントを行っていくためには、ビジネス環境を常に見極めることが重要です。事業戦略を立てるときにはビジネス環境を意識するものの、オペレーションのKPIに落とし込むときには、意識されず、昔のままのイメージでKPIを管理してしまっている状態をよく見かけます。

特に営業戦略においては、市場の動向だけでなく、顧客ニーズ、多様性、アピール方法など大きなことから小さな手法に至るまで、状況が加速的に変わったり、全く新しい指標で考えていかなければならなかったりする状態になります。せっかく設置したKPIも事業戦略とかけ離れてしまい、PDCAを回そうにも回せません。このようなことが起きてしまうとKPIの指標が正しく運用されず、結果的に単なる統計データを作っただけで終わってしまいます。そうなると事業への貢献度を図れず、効率の良い事業運営ができなくなるおそれがあります。

つながりを想像して運用しよう

KPIは、さまざまな観点でものを考えて、それぞれの人がそれぞれの立場で自分のKPIを指標として動いています。それだけに、お互いの運用がどのような結果をもたらすかだけでなく、ほかにどのような影響を与える可能性があるのかを常に想像して動くようにすることが大切です。

目の前にあるKPIの指標を単独で見るのではなく、 点と点をつないで線にして、大きな絵を描いていくような運用を心がけたいものです。事業運営の成否を分けると言っても過言ではないKPI設定。適切なマネジメントをするためにも、KPIマネジメント研修への参加をおすすめします。

真に実効性のあるKPI策定手法を学ぶ「KPIマネジメント研修」

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